9月10日


新居のニッチにようやっとグラスやカップたちが並べられた。
左下の隅の、内側が濃いターコイズブルーのそれはハワイのスターバックスで購入したもので、これも長いこと眠らされていた。台風が去ってだんだん涼しくなってきたので、この秋冬のスープマグにしたい。


引っ越して2週間、生活に必要な荷ほどきはほとんど恋人がやって、腰を痛めて動けないわたしの本や雑貨たちはいまだに段ボールの中で今か今かと身を寄せ合っている。
こういうとき、大事にしているものが「生活必需品」というカテゴリから外れてしまったようで、申し訳ない気持ちになる。荷造りの途中、納戸からついぞ外に出してもらえなかったものたちを見て、けっきょくひとつも捨てられるはずもなく古い段ボールから新しい段ボールへと引越しをさせてしまった。


吉本ばななの「キッチン」に引越しはがきを書くシーンがある。
読むと書きたくなるけれど、そもそも住所を控えている知り合いが恋人を入れても片手で足りてしまうので、何か贈り物の用事があるときにくれた連絡で、ちゃちゃっと済ませてしまう。


ただ、この日の目を見ないものたちが何かの折に今の住まいを聞かれたとして、「なになに町なに番地・段ボールの中」などと書くことを考えるといたたまれない。






aoyagi haruko

とるにたらない日々