7月30日



キャベツをざっと塩で炒めたのを挟んだサンドイッチを持ってベランダに出た。

クマゼミのつんざくような鳴き声と、わらび餅の移動販売の調子はずれな歌、どこかからワイドショーの笑い声も聞こえる。干したばかりの洗濯物の、柔軟剤の清潔できちんとした匂いに混じる煙草のそれで、隣人もベランダに出ているのを知る。
隣人は70歳くらいの女性で、ここに来てしばらく経つものの、まだ挨拶さえしたことがない。わたしは越したとき、わざわざ挨拶はしない。
わたしたちは「危険な場合、ここを蹴ってください」と貼られた薄い壁越しに、しばらく並んで外を眺める。


サンドイッチを食べ終わる前に、からからと網戸が閉まる音がした。



aoyagi haruko

とるにたらない日々